ミシェル・フーコーの統治性と国家論
  • ミシェル・フーコーの統治性と国家論

    生政治/権力/真理と自己技術

     

    山本哲士 著

    2021年8月20日発売

    ISBN 978-4-910131-18-4

     

    国家は巨大な怪物ではない。

    国家憎悪また国家愛は国家を過大評価している。

    国家に実体はない。

    国家は叡智性の図式である。

    権力関係論から統治制論への飛躍をもって、安全・人口の「国家配備」論理から「国家の統治制化」をめぐるフーコー講義を丁寧に読み解く。

    既存のマルクス主義的国家論を転換。

    コロナ禍で、迷走する世界は、その統治性のなさを露出している。何をいったいなしているのか、統治性が不在の社会主義国や統治性が貧相な資本主義国家を根源から見直す書。

    「生きること」への統治は、人口の統治制化と身体の規律化においてなされる「生政治」であり、社会を自然性化し、ホモ・エコノミクスを統治性と個人を結びつけるべく政治経済学=真理を創出し、「人間の振る舞い」を統治してきた。国家権力による支配・抑圧という粗野な国家論を転じる、画期的な書。

    • 書籍内容

      Ⅰ 権力関係論から統治性論へ

        序章 フーコー権力論の地平と言説プラチック                        
        ー 生権力/統治技術/統治性と国家への問題構成および基本範疇 ー
        (1)  権力概念の転移へ
        (2)  全体化と個人化 
        (3)  権力関係論と統治性:「主体と権力」における深化と革新
        (4) 言説プラチックとプラチック理論:「真理陳述」の系譜学  

      Ⅱ  国家の統治制化の初源 ー『安全・領土・人口』を読む
         
       1章  安全性のテクノロジーと統治:フーコー国家論の構築へ(1) 
       Ⅰ  安全性メカニズムの抽出と設定:最初の問題設定
       【1】安全性の配備dispositifと人口の出現  
           ◎ 人口の登場    
       【2】統治制     
        ❖  conduite de conduite  ❖  

       2章  パストラールの制度化:フーコー国家論の構築へ(2)             
       Ⅱ  パストラール権力の変遷  
       【1】羊飼いbergerと羊の群れとの関係:牧人pasteurの出現
          🄰 パストラール権力の特徴:元型   
          🄱 パストラールへの批判  
       【2】キリスト教的パストラール制 への制度化 
          🄰 キリスト教的パストラール制の三特徴:救済/法/真理       をめぐって       
          🄱「反振る舞い」と統治性:振る舞いに対する抵抗・反乱  
       【3】魂のパストラールから「人口」の政治的統治へ 
        ❖  統治制とパストラール制の関係:服従の論理と統治の論理  ❖ 

       3章  国家理性とポリス国家:フーコー国家論の構築 (3)       
       Ⅲ  国家理性とポリス国家  
       〔Ⅲ・1〕 国家理性の発明
         (1)  国家理性の出現における「国家」の出現
         (2)  統治理性:政治と統治  
       〔Ⅲ・2〕ポリス国家の構成
         (1)  ポリスの登場
         (2)  政治経済の誕生と人口:ポリスへの批判と離脱  
          ◉「経済」の出現:ポリスへの批判  
        ❖  国家の統治制化:Ⅱの問題構成的まとめ  ❖  

      Ⅲ  生政治と自由の統治アート⎜⎜『生政治の誕生』を読む
       
       4章  生政治の誕生と国家(上):自由主義の出現と自由の統治アート
          ー『生政治の誕生』を読む    

        【1】政治経済の出現へ:最初の問題構成
        【2】統治する自由アート:十八世紀の自由主義  
        ❖  統治の「装置」と統治の「配備」❖   

       5章  生政治の誕生と国家(中):新自由主義の統治技術 
        【3】新自由主義と国家  
          Ⓐ ドイツから新自由主義をみる  
          (1)  国家の存在を可能にする経済的自由   
          (2)  新自由主義「政治」の規定:企業形式をもつ社会 
          (3)  市場経済と社会政治  
          (4)  新自由主義と国家   
          Ⓑ アメリカの新自由主義   
          (1)  人的資本論と労働
          (2)  新自由主義の仕方       
          (3)  犯罪性・非行性

       6章  生政治の誕生と国家(下):ホモ・エコノミクスと市
        【4】ホモ・エコノミクスの統治性と国家   
              ・利主体と法主体 
              ・ホモ・エコノミクス=経済的人間の偶然依存の無規定性
              ・アダム・スミスの「見えざる手main invisible」
                      :絶対的に不可欠な不可視
              ・政治的・法的世界と経済的世界の両立不可能性 
              ・経済的主権の不可能 
              ・自然支配論者の立場 

        【5】市民社会の新たな布置:国家と社会の関係へ 
          * 十八世紀後半、ファーガソンの〈市民社会〉概念の出
          * 国家と市民社会
         ◎「真理による統治」へ ー『生者たちの統治』   
         ◎「自己と他者の統治」へ  
        ❖  Ⅲのまとめコメント  ❖   
       
      Ⅳ  新たな国家論へ 

       7章  国家論の新たな構成

         ー「社会」の防衛と共同幻想/場所資本の統治制 ー
         医療と戦争における統治制化:国家と権力関係との関係  
         フーコーによる国家の問題構成の再確認  
           統治と統治性/統治制の現在性へ  
         国家の現在的配備の構成:dispositifとしての国家論  
        Ⅰ 客観化された構造としての国家の問題構成
        :総体への理論配置  
          (i) 国家に「おける/対する」幻想と心性と認識の合致の地盤 
         (ii) 国家諸装置と社会空間の関係構成:統治技術の布置   
           ・ 社会政治を超えるプライベートなもの:フーコーの限界  
        (iii) 国家装置と社会サービス制度の対象である家族
        (iv) 諸々の権力テクノロジーの国家編制  
           ・ 国家を超える政治権力 
        (v) 軍事・外交の国家間編制と多民族  
       Ⅱ  国家アクトの諸装置と諸機能:制度と配備と装置  
          ・ 国家を超える統治性  
       Ⅲ  国家と自由市場経済との関係構造  
          ・ 市場経済を超える資本経済   
       Ⅳ  諸個人の国家意志と国家構造:個人化の政治と経済   
       Ⅴ  国家の死滅、国家の廃絶、国家の無化という問題   
         ⓐ  国家語とバナキュラーな場所言語、そして場所共同幻想 
         ⓑ  対幻想/対関係の共同性への疎外表出  
       結語:共同幻想国家と統治制  
           ❖ dispositifとその方法 ❖ 

       8章 政治と倫理
          ー 国家・社会に対する自己テクノロジーと場所政治へ ー
           政治の倫理:一九八四年、生前最後のいくつかの語りから   
           場所と資本の経済政治  
          資本の統治、場所の統治:新たな統治するアート   
            ⦿ホスピタリティ資本経済の出現へ   
            ⦿ホスピタリティ場所環境政治の出現へ   

      【補記】フーコーの基本語彙・言表・概念:理論用語の概念空間

    ¥2,970価格